コレジャナイブログ

かわさきロボット競技大会、通称かわロボについて情報の交流を目的として書きます。

伸縮スライダーフォークロッド的なシャカシャカアームについて

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↑こいつのアームの話

今回はこいつに使っているアーム、通称「ダインスレイヴ」秘匿呼称”シャカシャカアーム”についてせっかく面白いもの作ったので解説します。作ったの何年前だよってつっこみは無しで。

ちなみに元ネタは
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これ

これをこうしてこうじゃ!
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ってしたくて名前を付けましたが、アームは良いとしても脚がナメクジレベルだったのが残念な機体でした。
まぁ機体の話はいいんですが。

アーム自体の性能はかなり良く、一部の機体に対してかなり有効に戦えるものとなりました。というか、操縦技術がとんとんなら負けるはずないだろうってくらいに強いです。



このアームにたどり着くまでに色々な変移があったので、簡単にそっちから。
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1号機
戦闘コンセプト:二本のアームで敵を挟み撃ち!ロボット少年の勇気と希望を乗せた双方向からの挟撃を躱すことなど不可能!相手は死ぬ!!!!

そんなわけはなくリーチの短さとパワーの無さでシールド回転に玉砕。そもそも押し出しがコンセプトだったがリング際のかまぼこの絶対防御を崩すことができなかった。

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2号機
戦闘コンセプト:小型中射程からの猛攻!やはり小回りが足りなかった!相手を翻弄しつつ安全地帯からの双撃!守りと攻撃を同時に可能にした左右独立のアームに隙は無い!相手は死ぬ!!!!!

そんなことはなく、一本あれば守り切れるほどかわロボは甘くない。しかも射程が微妙でロングロッドには負けるしシールドアームの下側に潜り込ませても相手の本体にアームが届かない。しまいにはロングロッドのカウンターにリーチ負けして本大会は敗退。あと有限回転の4ch操作はアホほど難しいことがわかった。


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3号機
戦闘コンセプト:やっぱりリーチは正義だよアニキ!横幅も増やして相手を左右から挟み込むことで絶対に対処しきれない攻撃範囲を確保!減速比も落とすことによって操作性の向上も!今までの恨みと悲しみを乗せた双肩は比類なき破壊をもって相手の守りを粉砕する!相手は死ぬ!!!!!!!!!!

想像は自由だよアニキ。でも創造できるかは現実が判断するんだよね。伸ばしたはいいけど未だに中途半端なリーチと減速比を落としても左右独立アームの操作しづらさが僕のリアルを破壊した。明らかなコンセプトとしての弱さは軽減されたものの、それ故に浮き出てくる操縦技術の無さ。なぜ人の腕は2本ついてるのにロボットだとこうもうまくいかないのか。僕は悲しんだ。

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4号機
戦闘コンセプト:やっぱり戦いはパワー&スピード!要はつっこんで投げれば勝てるって話よ!アームを下げたまま相手の懐に飛び込んでそのまま投げ飛ばす!相手の攻撃を受け流す機構で一方的な攻撃を可能にした4本のアームはもはや盾であり矛!その一点の隙も無い武装は瞬きの間に相手を地獄へ叩き落す!相手は死ぬ!!!!!!!!

悪くはなかったが戦い方に癖があったり全然戦えない相手がいたりして相性の差が激しかった。あえてアームの下を丸くするという発想はアームを下げながら突撃するという勝ち筋と、相手からの防御を困難にする負け筋を同時に産んだ。しかし本数を増やすという単純な事で戦術が大幅に広がるという発見もあった。あと3chがやっぱり使いやすくていいです。


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6号機
戦闘コンセプト:やっぱり数に勝る正義はなかったよアニキ!4本のアームで相手を串刺し!守れないという欠点を排除したアームはどんな局面にも対応可能!攻防一体の4本の槍はどこからでも相手の急所を抉り取る!相手は死ぬ!!!!!!!!!!!!!

ここまでの経緯を経てある程度の方向性をもって形になった新型アーム。今までで一番多局面に対応可能で、かつ明確な勝ち筋を用意している。4号機とは少し違うように見えるが、役割だけ見れば上位互換である。しかしできることが多い反面使い方を理解していないと使いづらいし、自分も使いながら戦い方を模索した。対シールドアーム用食器型決戦兵器。



雑に紹介しましたが、ここからがアームの大事な部分の話になります。造りは雑だし難しい構造は一切ないので、解説はしないっていうか参考にはしないでください。
一番大事なのは使い方で、このアームの要素を理解している必要があります。
このアームの要素とは大きく二つあり、”4本あること””スライドすること”です。さらに二つ合わせて初めて戦える部分もあります。そうふたりはプリキュアですね。


4本あるといいこと
・相手に近づかれにくい
例えば1本ロッドだとその1本を捌かれれば抜けて近づかれますが、2本あれば2本同時に捌かなければいけないし、4本くらいになると全部いっぺんに捌くのはもう無理です。なので自分より射程の無い相手にはアームを下げている状態で負けなくなります。

・投げやすい
1本ロッドで相手を持ち上げようとすると左右に転がりやすいですが、2本以上あると相手を投げ飛ばしやすくなります。4本もあれば2本くらい相手の下に潜りやすいので、投げる姿勢が安定します。

・盾っぽくも使える
かわロボで言うなら、ロングロッドは線攻撃、シールドアームは面攻撃と言えます。線攻撃は刺しやすいし、面攻撃は守りやすい。このアームはロッドが4本あるので線攻撃となりますが、一方機体を相手に対して斜めにすることにより、相手の攻撃を受け流しやすい面として使えます。これにより少しの挙動で攻撃と防御を入れ替えることができ、射程で劣る相手にも戦いやすくなります。
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図1 作品名「努力の限界」
(気持ちでわかって)

・なんか挟まったりする
たまに相手と組み合ったとき、2本のアームの間に相手が挟まったりするとそのまま勝負が決まります。狙ってできるものじゃなく偶然なんですが、こういう現象も加味するとアームはもっと多くてもいいかなと思ったりします。



逆に4本あるとよくないこと
・リングにアームが刺さる
4本あれば防御には向いてますが、逆に攻めようと思うとアームがそのへんに刺さります。攻めるにしてもなるべくアームは低くしておきたい都合上、攻めづらくなってしまうのは一番の欠点です。特に普通に相手のボディーの下にアームを潜り込ませる動作が基本できなくなります。

・アームを潜り込ませられない
上の話と繋がりますが、例えばロッドに対してシールドの方が相手にアームを潜り込ませづらくなります。これはアームの攻撃面積分の余裕が無いと当然アームは入っていかないからです。例えば相手の側面にから攻撃する場合、ロッドの方が攻撃に必要な面積が少ない分余裕をもってアームを刺せます。逆に極端な例では、アームの先端が横一文字に広いシールドは相手の側面から刺すことは基本的にできません。
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図2 作品名「ルビンの壷
・重い
これは気合でなんとかなる



スライドするといいこと
・刺さりやすくなる
「え?刺さらなくなるんじゃないの?」というそこのあなた。実は刺さるようになるんです。というより、勝手に刺さってくれるようになります。(詳しくは図で)これにより相手への決定打が決めやすくなり、勝てる状況が格段に増えます。特に大きいのが、刺されば相手を投げられるので相手の下を取らなくてもボディーのどこかに刺せば良く、下の取り合いをしなくてもいいようになります。これが”下を取れないけど隙を見て突っ込めば勝てる”4号機に対して”下を取らなくても良いしなんならアームが下がってても勝てるし守りもできる”6号機を上位互換と呼ぶ理由です。アームを下げきって走れなくはなりますが、”アームを下げて突っ込んで投げるだけ簡単”と”てきとうにその辺に刺して投げるだけ簡単”なのでそう意味合いは変わらないと思ってます。
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図3 作品名「まだわかりやすい気がする」

・リングに刺さりづらくなる
「今度は刺さりづらいのかよ!どっちだよ!」って感じですが、これは話が簡単で伸縮機構により勢いよくリングの障害物に突っ込んでも衝撃が緩和され、ロッドの先端ががっつり刺さって動けなくなるといった事態を回避しやすいということです。その程度ですが、これが後に大事になります。

・投げやすくなる
相手を投げる際に通常”アームを下げる→アームを下に入れる→投げる”といった動作が必要ですが、アーム先がスライドすることで”アームを相手に押し付ける(アームが縮む)→アームを下げて(アームが伸びる)すぐ上げる”という動作に変更できます。これがやってみるとかなり簡単で、追いかけっこになった場合追い付いてすぐ相手を投げる挙動まで行えます。

・カッコイイ!
男の子は遺伝子レベルで伸縮機構とかそういうの大好きなんです。



スライドしてよくないこと
・重い
気合でカバー

・部品が多くなる
愛でカバー


・4本あるとアームを潜り込ませられなくなる-スライドして刺さりにくくなる=アームを潜り込ませられるようになる
4本あることでアームが相手に刺しにくくなる欠点がありましたが、スライドすることによってその点を完全にカバーできます。詳しくは図
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図4 作品名「ロビンの壷再び」
これによって弱点その1がカバーでき、疑似的なシールドとして使えながら、シールドとしての欠点をかなりの割合で克服したアームとしての性能が得られています。

・4本あるとリングに刺さりやすくなる+伸縮することでリングに刺さりにくくなる=4本あっても使いづらさが減る
これは完璧にとはいかないですが、伸縮することで刺さりにくくなるので使いづらさを軽減できます。スライダーの長さが長くなればなるほど使いづらさは軽減していきます。

・4本あると攻めづらくなる+伸縮を利用してアームを下げなくても攻撃できる=下を取らなくていい上にアームが多いほど攻撃力が増す
これはこのアームの攻撃方法のメインでありこのアームの二つの要素のシナジーがかなり強い部分です。スライドを利用しててきとうに刺せば投げられるのであれば、その手数は多いに越したことはないです。釣りで言うギャング釣りみたいなものですね。ただしこれをメインに考えるのであればリーチはあるに越したことが無いので、ミドルロッド(500㎜~600㎜)くらいにはあったほうがいいなと思いました。



攻撃方法
大事な要素は全て書いたと思いますが、じゃあ結局どうやって戦うのっていうことを簡単にまとめます。
1、迎撃作戦
自分よりリーチの短い相手に対してカウンターを狙いに行く戦い方です。特にどこに刺さりそうかを考えて反撃していくと勝ちやすいです。

2、くねくね作戦
自分よりリーチの長い相手に対して、突っ込んでは反撃を斜めに受け流して回避、という流れをくねくねしながら近づいていきます。これができないとロングロッドに勝てないです。

3、ぶっさし作戦
相手の攻撃を防ぎつつ、相手のボディーを狙って刺していきます。経験上アームを強く押し込むほど良く刺さり、肉抜きの隙間だけでなくカバーの隙間や脚にまで刺さることもあって割と信用しています。

4、おっかけ作戦
追いかけっこになったら相手のおしりでも側面でも狙って投げていきます。上で説明した通りアームを押し付けてから↓↑入力で即強投げまで派生できますので、追いかけっこもしやすいです(脚がナメクジでなければ)

5、あきらめ作戦
横回転が来たら絶対無理なので換装アームを用意しておきましょう。なかったら作戦通りいきましょう。


反省点
これはコンセプトではなく個人的な設計の反省点です。箇条書きで。
・カウンターが短かった。特に端のアームで持ち上げると側転倒しやすかった
・アーム先が細くて曲がりやすかった
・アームの中折れ機構の付け根をもっと手前まで持ってきて攻撃されない場所を長く取るべきだった
・中折れ付近の構造がちゃっちくてアームが左右に傾いたりしてたからちゃんと造るべきだった
・アームのリーチをもう少し伸ばすべきだった
・アームはもっと多くても良いと思った
・アーム先の交換は楽にすべきだった
・ちゃんと換装アーム用意しとけや増田ァ!!!!




終わりに
いかがでしたか?今回はせっかく作ったんだから忘れる前に書いておこうと思って、思い出せてよかったです。
このアームは今までにあった有限回転系アームの特性を元に改造して、色々なアームのいいとこどりのようなものになりました。まだまだ改良の余地がたくさんあるので、よければ作ってみていただければ嬉しいです。

また、今回の記事で一番発信したいことは「かわロボのアームはまだまだ開発の余地があるんじゃないか」というところです。大会上位勢を見るとやはりスタンダードから外れていない形状が多いです。もちろん使いやすく洗練された形状だから支持され続けていることは間違いありませんが、せっかくのものづくりなのだからそういったスタンダードに勝負してみるのも面白いんじゃないかと思います。自分は結局何年かかけてこれに行きつきましたが、一つ納得できる形になって続けて良かったです。

大変長くなりましたが、見て下さりお疲れ様です。書く方も疲れました。おやすみなさい。