コレジャナイブログ

かわさきロボット競技大会、通称かわロボについて情報の交流を目的として書きます。

うちのうさぎはぴょんぴょんしないんじゃあ゛〜〜〜(オイルダンパー搭載)

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どうもこんばんは。

今年の本大会の機体についてまとめます。恒例なので。
本大会ではMetamolD³という機体名でエントリーしていました。
機体としては以前作った白兎を改良したものですので白兎改とします。
改良点は主に走行性能とメンテ性の改善に重点を置き、機体の重心を前に寄せる事で旋回中心を前よりにして扱いやすくなるようなボディーのレイアウトにしました。
結果としては上手くいき、走行性能は自分史上ぶっちぎりの出来で近年インフレしているかわロボ水準にも遅れはとっていないと思います。
特に今回は脚機構にスライダーヘッケンを採用していますが、特殊比率のヘッケン軌道に切り返しを緩くする工夫を施してかなり効率のいい脚周りになりました(オタク特有の早口)
アームはてきとうです。振り回せてるので多分おっけーです。チョべりぐー。

ざっくり良かったねって感じでここからは細かいところを説明します。ここでしっかり書いておくと来年設計する時に「あーそういえばこんなこと考えて設計してたんだ今年に反映しよう」となるのでブログおススメです。ただのメモより寂しくないですからね。

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全体的には丸っこくコンパクトな印象ですね。あと重心高そう(高い)
基本的に重いものはマシン下部に配置してるんですが、脚のモーターのみ高い位置に置いてあるので思ったよりは高くなってしまいました。380モータ4個で300gくらいはありますから、これが思ったより重心に影響してしまいました。次はモーター全部下板ギリギリに配置します。
マシンの丸みは狙ったものじゃなく、脚はスライダヘッケンなので側板が大きくなりがちなのと中心にサスペンションを無理くりつっこんでるのでこれ以上小さくなりませんでした。スライダヘッケンの一番の欠点だと思います。でも可愛いからOKです(良くはない)

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中身はこんな感じです。アームが邪魔過ぎて仕方ないですが、これはコンセプト上仕方なかったんです。
今回はアームのレイアウトを、マシン前部に置いたモーターから減速機がマシンの後ろ方向に伸びて、アームの回転中心がマシンの中心より後ろにあります。これは重量物のモーター
を前側に置いて重心を前に寄せるのと、アームで相手を持ち上げた時に自分が転倒しにくくなる一石二鳥を狙って成功しましたが、電装系を置くスペースが無くなりケツが出てしまいました。そこは思ったより重心が後ろに下がらなかったのと走破性に影響も及ぼしてなかったので良しとします。ただ重心を前に寄せたって言ってもほとんど真ん中なので、次はもうちょっとレイアウトを前にスライドさせます。

というわけでアーム編です
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今回アームはワンタッチ換装機構を搭載していて数秒でアームを交換できます。そしてせっかくなので複数のアームを用意しました。
まずはこれ、魂のシャカシャカアーム
常世全てのシールドアームを消し去る為に開発された対シールドアーム用決戦兵器
安定のシールドキラーなんですが、本大会のやつは色々と設計をミスって壊れてしまったので作り直しです。
あとはアームの回転中心を後ろに下げたことによりアーム自体の長さが伸びて慣性モーメントが増えてしまい、色々ついている重いアームは振り回すと自分までコケてしまうという欠点がありました。回転半径を伸ばすことによる明確な欠点だと思います。これは見過ごせないので、アームの軽量化も行う必要があります。あとこれは問題って程でもないですが、本大会の時はアンプのモーターブレーキを全て切っていたせいでアームが自重で下がってきてたのでたまにちょっと上げるという動作が必要でした。他のアームはそういうことは無いので事前にわかっていれば設定を変えておいたのに、当日完成は良くないですね。

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The普通のシールドアーム。最初にとりあえず作ってみた。
安定の使いやすさだけど結局のところ操縦技術が無いと勝てないアーム。
守りやすいことは安心感があるけど、対シールドの時の相手も守ってるから決め手に欠ける感がもどかしい。串刺しにしたい。

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対横回転用アーム。銘は日大タックル。
丸まって相手にタックルする事しか許されない悲しみのアーム(怒られそう
極力被弾する面積を抑えるのとスタートダッシュするためにアームを下げた状態でスタートできる寸法に抑えた。でも最近の横回転スタートが遅いとか無いからスタートダッシュはいらなかったのでは・・・?感
後は防御に特化したとは言っても攻撃力が流石に無さ過ぎた。天空の剣とは言わないから銅の剣一本くらいの攻撃力は欲しかった。ヒノキの棒では魔王は倒せませんよ王様。
でも丸まった格好がダンゴムシみたいで可愛いのでお気に入り。ちょーだいすき。

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今年のアームの換装機構。穴に細めのドライバーを突っ込んでロックを外す構造になっています。そういう構造にした理由はワンタッチにしたときに相手と絡んだりして外れたりする危険を極力減らすための安全策として採用しました。でもやっぱり手で外せるほうが早いし何よりカッコイイです。次は工具なしにします。
そもそもなんでアームにワンタッチの換装機構を搭載しているかというと、ものづくりってそういうものかな?って思ったからです。身の回りにある物を見ても、コピー機のインクや加湿器の水入れなど”替えるとわかっているものはすぐに替えられるようになっている”のが通例です。冷蔵庫のドアがネジを外さないと開かないなんてないです。自分は設計者のつもりなので、こういう点は大事にしたいです。自分は設計が楽しいからかわロボをやっているので、むしろこういうところを強化していって便利なかわロボを作っていきたいです。
あとは「アーム替えようか迷うけど交換だりー」みたいなめんどくさがりの自分対策でもあります。フリーランスやってると自分のご機嫌をいかに取るかって事がどれだけ大事なことがわかります。自分お気に入りの機構を搭載することで「アームかちゃっと交換できてカッケー!アーム交換楽しい!」となり必然試合にも勝ちやすくなります(たぶん)そのためにわざわざ機構のロック音を派手にするためにいらないくらい強いバネまで入れてます。たゆまぬ努力に涙が出るじゃろ。


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アーム機構。
普通のスライダー機構。ただアームがコンパクトになるようにスライダー溝に対して明後日の方向にアームが伸びてる。こうすると収まりかいい。
最終段ギヤの回転中心とスライダー軸をあまり離さないようにすればアームの軌道が円弧に近くなりますが、今回のアームはわざと離していて、最終段ギヤの回転角に対してアームの回転角が大きくなるように増角しています。確かギヤが120度回る間にアームは180度くらい回ります。揺動してる感強い。
ギヤ比は150くらい。モーター2発。ほんとは左右に同じギヤボックスを付けてモーター4発にするつもりだったけど、おそらく4発分のパワーが片方にかかってギヤが綺麗さっぱり折れたので重量問題もありギヤボを片方外した。でも2発でも特に問題を感じないのでそのままにしてます。


~脚編~
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脚は4枚脚のスライダヘッケンでホイールベースは196㎜。(Linksでいう)クランク高さは60㎜、ギヤ比は35:1でちょっと遅く感じる。でも4相脚なのと特殊なヘッケン比によって走ってる感触はとてもいい。自分は毎回設計に新規の工夫をいくつか取り入れていますが、今回のマシンの一番の成功といってもいいです。
ただしなんで走破性が良くなったかについての理屈は説明がちょっとややこしいので後日別の記事にまとめるつもりです。

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サススライダー
今回のゲテモノ部位。このサススライダーは開放状態で上に寄っていてサスを縮めると下がります。画像では左側の脚を上げる(=サスを縮める)と右側のサススライダー(正確にはオイルダンパーの固定してある直動レール)が下がっています。つまり左の足は右のサスに、右の脚は左のサスに繋がってます。これは真ん中のボディーにサスをまず2つ縦に配置して、それと脚をリンクさせようとしたら交差しないと脚の可動域に対してサスの可動域を取れなかったので嫌々こうしました。めんどかったです。
元々はここにサスを配置しとけば脚のユニットがコンパクトになって設計を流用する時に楽になるかなと思ったんですが、コンパクトにはなったけどあんまり窮屈になってしまったし脚がぶつかるからこれ以上脚を大きくできないしであんまり設計としてのメリットは無かったです。無念!動いてる見た目だけちょっと面白い。
サスの可動範囲は地面から垂直に見て上に20㎜下に10㎜。オイルはタミヤの400番を入れてバネは外形18線形1.8くらいのを入れてます。

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ボディーサス
赤い丸がサスの回転中心で裏表二つパーツを外すと脚の片方が分離する。ここをメンテしやすくするのが今回のマシンの目標の一つ。
赤い線はサスの回転中心から脚の回転中心まで引いた線。軸回転のサスはここを水平に近づけるとサスの性能が良くなるからサスの回転中心をできるだけ下げるように設計してる。
サスの性能もメンテ性も良くなったのでGood

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カバー
設計するのがチョー楽しい。防御力も申し分ない。素材はカーボン入りPLA。みんな3Dプリンター買おう。

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足裏
シリコンのt3。分厚めにしたけど、これも良かったのかも?

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スライダーの端に付けたクッション
スライダーヘッケンの溝の端のクリアランスを1.5㎜取ってたら反転したのでそれを埋める用のクッションをつけて調整した。Links上の数値も攻めていたのでまぁこんなことにもなるかと。今回思ったのはスライダヘッケンを作るときにスライダー端のクリアランスはいらないんじゃないかと。どうせスライダー軸がスライダー端にぶつかるんだから”ぶつけて反転させる”くらいの気持ちで良くね?っていう。カムやスライダーの寸法誤差のガタも含めるとクリアランス0㎜でも十分動いてくれると思います。
あとはクッションを入れることで当たり方がマイルドになった気もしたので、機構の動きをスムーズにするという目的で入れてもいいかも知れません。

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最後にお腹
つるつるしてて可愛い。


以上です。最高性能的にはかなり納得しています。が、メンテ性や耐久性に微妙なところがあったり造りが甘くて効率が悪いところなどもあるので、その辺を改修したものを一台作って白兎シリーズは終わりにしたいと思っています。